大賞
木のおもちゃカフェ SOWERS
大人も子どもも穏やかに過ごせる、木のぬくもりに包まれるカフェ
秘密基地のような木組みのロフトが印象的な、木のおもちゃカフェ SOWERS(ソワーズ)。木のぬくもりの中で、大人も子どもも同じ空間でリラックスして過ごせるコミュニティカフェです。
店主のラバティーニー梨菜(りな)さんは、子育てを機に地元にUターンしましたが、子どもを遊ばせながら大人も自分らしく過ごせる場所があまりないことに気づき、「子どもとの外出先で、大人がゆっくり過ごせる、そんな場所を地域に提供したい。」との想いでカフェを立ち上げました。店内は、杉やひのきなどの無垢材を使い、ぬくもりを感じる空間に仕上げています。子どもが遊びに夢中になり、かつ大人にとっても居心地の良い空間づくりにこだわったという梨菜さん。キッズスペースとカフェスペースは段差で区切り、キッズスペースには木組みのロフトを設置。店名の「SOWERS=種を蒔く人」には、子どもたちが将来、自然を大切にする感性を育んでほしいという想いも込められました。
カフェメニューには、体に優しい食材や発酵調味料を使ったランチやスイーツを用意。店内ではエコやエシカルを意識した、人と環境に優しい雑貨も販売しています。
料理やヨガなどのワークショップには、子どもを遊ばせながら参加できます。また、店内にはワークスペースも設置しており、仕事をしながら子どもを見守ることもできます。「今後は、地域のすべての人が主役になれる場所にしたい。」と話す梨菜さん。子育て中のお父さん・お母さんだけでなく地域の様々な人がつながる場所を目指しています。
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釘を使わずに制作した木組みのロフト。冒険気分で遊べるロフトは大人も子どももわくわくします。2~3歳は立って遊べ、大人も座って入れる高さです。
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自由な発想で、何通りもの遊び方ができる木のおもちゃ。海外で作られたものや国内の木工作家のおもちゃまで30種類以上の木のおもちゃで遊べます。
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プラスチックごみ削減などの環境に配慮した固形シャンプー・竹歯ブラシなどを販売。赤ちゃんから使える自然素材でできたものも多く、地球と人に優しい商品を揃えています。
お店からのメッセージ
店主ラバティーニー梨菜さん
指出 一正(さしで かずまさ)
店内は、杉などの木材を使った子どもも大人も落ち着く空間で、木の素材を肌で感じる大切さが感じ取れます。見た目だけではなく、段差、ワークスペース、高さなど考え抜かれた配置、遊びの設計が素晴らしいです。
また、子どものためだけではなく、子育て中のお父さん・お母さんのことまで考えられており、「自分」の時間を充実したものにしてくれるウェルビーイングな思想が見て取れます。地域社会の課題をシャープに捉えながら、おしゃれに楽しくアプローチされています。
店舗情報
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- 所在地
- 沼津市五月町13-17
フリック外語国際センター2F
- 営業時間
- 10:00〜16:00
土曜日・日曜日・祝日は10:00〜16:30
- 定休日
- 月曜日・火曜日(日曜日は不定休)
- お問合せ
- InstagramのDM(ダイレクトメッセージ)にて御連絡ください。
優秀賞
桂花園
伝統を守りおもてなしの心を紡いでいく、城下町の老舗和菓子店
城下町の風情が残る掛川市。旧東海道沿いに店を構える桂花園は、明治の中期から続く老舗和菓子店です。和菓子の甘い香りが漂い始める開店と同時に、ひっきりなしに訪れるお客様の多くが、「丁葛(ちょうくず)」を買い求めていきます。
江戸時代、掛川城下では侍の正装である裃(かみしも)に用いられる葛布が参勤交代の大名のおみやげとして大人気でした。葛の繊維は葛布に、根からは葛粉が作られるため、葛湯は掛川城下の名物となりました。今では扱う店もすっかり少なくなってしまいましたが、桂花園では受け継いだ伝統に革新もプラス。店頭には13種のフレーバーの丁葛を取り揃えています。
「秋冬は熱々の葛湯を、春夏は冷たい涼風葛湯をお客様にお出ししています。」と、店主の妻の中村泰子(なかむらやすこ)さん。お客様は名物の葛湯を味わいながら、ゆっくりと買い物を楽しんでいます。創業の頃から作り続けられている、一本焼きの「昔かすていら」や、梅の花を模した一口サイズの最中「小夜乃梅(さよのうめ)」も、その変わらぬ味が人気です。
一方で、修行から戻った息子さんによって、今の時代に合った新たな味も生まれています。お店に入るとひとつずつ丁寧に和菓子を作るスタッフの様子を見ることができ、手作りの安心感が伝わってくるのも桂花園の魅力です。
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桂花園の登録商標「丁葛」の名は、四角に固められ店の軒先に吊されていた葛粉を、昔は一丁二丁と数えていたことが由来。ゆず、しょうが、ココアなどが人気です。
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小さく切った餅を一つひとつ機械にセットして作る最中の皮。40年来、毎日店で焼き上げています。作業の様子は、ガラス戸を通して見ることができます。
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城下町になじみ、かつての街道沿いの賑わいを彷彿とさせる蔵造りの店舗。常緑で縁起がいい松を、門かぶり松に仕立てた玄関は、老舗の風格をたたえ客を店内へと誘います。
お店からのメッセージ
中村泰子さん
ひびの こづえ
古い建物を丁寧に使い、歴史と伝統を大切にしながら、時代の中で個店らしさを新鮮に保ち続けています。
お店に入ると店内奥の製造場所まで見渡すことができ、商品が生まれてくる作業過程を覗くことができます。働くスタッフの動きや導線含めてまでもが、美しいデザインのように感じられます。
全て手作りで目の前でつくる環境は安心感と説得力があり、年配の方への配慮や、素材に対しての安心・安全な選び方など「良心」の姿勢で地域での商いを続けている点が素晴らしいです。
店舗情報
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- 所在地
- 掛川市仁藤町10-1
- TEL
- 0537-22-2607
- 営業時間
- 9:00〜18:00
- 定休日
- 水曜日・元日
特別賞(ローカルフード賞)
KURUHA
自然が奏でるBGMの中で、地元素材の味を生かした料理を提供
まちの喧騒とは無縁の田園風景の中に佇む古民家。ここは店主の難波隆正(なんばたかまさ)さんが叶えた、自分が記念日に行きたいと思う理想のお店です。
和食の“鉄人”道場六三郎氏の下で修行をし、老舗割烹旅館などで研鑽を重ねたのち、地元三島市でお店を開業した難波さん。当初は修業先で学んだ技術を生かした料理を提供していましたが、お店を訪れた地元の生産者さんから様々な食材を紹介されるうち、静岡の食材の魅力に改めて気づき、しだいに素材の味を生かした創作料理を提供するようになりました。あえて市街地から離れた現在の場所に移転オープンすることで、地域を訪れる目的を生み出しており、ゆったりとした空間の中で美味しい料理を楽しめます。
リピーターのお客様が多いというKURUHA。料理の味はもちろんのこと、スタッフ全員が常に笑顔を心掛け、店主自らが玄関先までお見送りをする、そんな心温まる接客のたまものなのでしょう。
「今後の店づくりはさまざまな可能性を探っていきたい。いずれは宿泊スペースを設けて、オーベルジュのように、美味しい料理と非日常時間をゆったりと過ごせる店にするのも素敵ですよね。」と、難波さん。自然に囲まれた、深呼吸できる環境は、メニューづくりにも店づくりにも、新たな魅力を添えるインスピレーションを与えてくれるようです。
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梁(はり)や柱、欄間など、日本家屋の良さを残しながらモダンにリノベーションされた店内。築年数は難波さんの年と同じ。ここから一緒に年を重ねていこうと思ったそうです。
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旬の味を大切にする料理は、伊豆のろっぽう野菜や三島馬鈴薯、箱根西麓牛、沼津港に水揚げされる魚が主役。素材が持つ滋味をとことん引き出した月替わりの料理です。
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庭を見ながら食事を楽しめることも、店づくりの重要な要素。昼間は鳥のさえずりや風にそよぐ木の葉の音がBGMになります。夜は幻想的にライトアップされます。
お店からのメッセージ
店主難波 隆正さん
繁田 和美(しげた かずみ)
古民家の良さを生かし、使いやすさ、居心地を考え抜いたデザインで、モダンにリノベーションされています。建物だけでなく庭も綺麗に手入れがされ、店主が店と庭を愛し大切に育てていることがよく伝わってきました。
ゆったりとした時間と空間の中で、地域の環境や食材が融合し、色鮮やかな和食を提供されているお店であり、お客様の多くがリピーターということがよく分かりました。
店舗情報
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- 所在地
- 伊豆の国市墹之上371
- TEL
- 055-928-9560
- 営業時間
- 11:30〜14:00、17:30〜22:00
- 定休日
- 月曜日、日曜日(ディナー)、火曜日(ランチ)
特別賞(サステナブルデザイン賞)
根継商店
ものづくりがつなぐ、次世代へのコミュニティとサステナブルな意識
三島広小路駅から徒歩2分。三島大通り商店街に面した複合ビル「Via701」。その1階にある「根継商店」のコンセプトは、“ものづくりを通じてヒト・モノ・コトが繋がる場所”です。建築アイテムを販売しているほか、常駐している大工のサポートを受けて街中でDIYが楽しめる「まちの作業場」や、建築やアート関連の本を中心に取り揃えた「ものづくり書店」を備え、地域住民はもちろん、観光客も立ち寄りやすいオープンな場を提供しています。
店内で販売しているものは建築過程で出た端材を使用した木工製品。ケヤキやヒノキから作られた名刺入れや、鍋敷き、コースター、キーホルダーなどが並んでいます。また、什器にも伊豆半島の天城山で育ったヒノキを使用しています。作業場に設置された「端材ビュッフェコーナー」では建築過程で出た木端材をDIYの材料として提供しており、木材の廃棄量削減にも取り組んでいます。
近年、この地域はマンションの増加とともに移住者が増えているとのことで、「ものづくりが好きな人が集まれる場所があれば、移住者の方でも気軽にDIYができ、地域の方との交流も生まれます。」と話す店主の秋元亮彦(あきもとあきひこ)さん。まちの作業場では常設のワークショップのほか、ものづくりイベントも年に数回開催しており、平日はカルチャー教室の会場としても使われています。Via701の当初からの役目である地域住民の交流の場を受け継ぎ、地域づくりに貢献しています。
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誰もが気軽にDIYができる「まちの作業場」。手ぶらで参加できる常設ワークショップは予約不要。地域の人や観光客が、建築端材を使った作品づくりを楽しんでいます。
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建築やインテリア、アートなどに特化した書籍を販売する「ものづくり書店」。ふらりと立ち寄って手に取ってみることで、本との新たな出会いが生まれます。
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建築過程で出た不揃いな端材を、購入したエコバッグに詰め放題で持ち帰れる「端材ビュッフェ」。2回目からはバッグ持参で無料に。角材は量り売りで格安で販売しています。
お店からのメッセージ
店主秋元 亮彦さん
ひびの こづえ
店内は、木のよさとDIYやクラフトのイメージを想像させるモダンな作りとなっています。店内奥には広々としたスペースが設けられており、のびのびと作業ができそうです。
社会貢献を中心に運営がされ、建築会社が地域のコミュニケーションをつくる場を提案しています。大工がいきいきと作業されており、ものづくりやものを大切に使う文化に一役買っている企業の地域貢献の新しい形です。
店舗情報
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- 所在地
- 三島市本町7-30 Via701 1F
- TEL
- 055-955-5770
- 営業時間
- 10:00〜17:00
- 定休日
- 火曜日
特別賞(プレイスメイキング賞)
MUGI
ふらりと立ち寄って一杯。 立ち飲みできる酒屋が商店街を盛り上げる
MUGIが開業したのは、コロナ禍で居酒屋やクラフトビールの醸造会社が大きな打撃を受けていた2021年11月。地元のクラフトビールにすっかり魅了されていた店主の伏見陽介(ふしみようすけ)さんは、静岡の小さなクラフトビールの醸造所を応援したいという想いと、静岡浅間神社の門前として栄えた商店街から店舗が減っている状況になんとか歯止めをかけたいという願いから、浅間通り商店街にある築70年超の祖父母の家をリノベーションし、お店を構えました。
店のコンセプトは、お酒を通じて人と人がつながる、“すごせる酒屋”。その象徴が、店内の中央にある大きな立ち飲みのテーブルです。お客様はテーブルを囲み、自由に店内を行き来します。計算し尽くされたリノベーションは、空間に開放感をもたらしています。
店内では、静岡県内のクラフトビールをメインに約300種類ほどの商品を揃え、ビール以外にもミード(蜂蜜酒)やクラフトサケなど流通量が少ない希少なお酒に出会えます。購入したお酒は店内で飲むこともでき、ビールは少量から注文が可能です。1人でも気軽にふらりと立ち寄り、店主との会話をゆったりと楽しめる酒屋。そんな酒屋を目指して、伏見さん自身も酒蔵に仕込みの手伝いに行き、最新のお酒に関する知識や情報を増やしています。
また、年に数回は、商店街の店主さんたちを招いて交流会を開催し意見交換をするなど商店街を盛り上げる取組を積極的に行っています。
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天井と壁を取り払い、梁(はり)や土壁の一部をそのまま見せる、引き算の古民家リノベーション。カウンターのブルーグレーの壁が、ビールの鮮やかな色を引き立てます。
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大きなガラス窓から店内が見え、立ち寄りやすい雰囲気。商店街で購入したおでんや総菜、名物のどら焼きなどは、おつまみとして持ち込みOK。商店街の人流を促します。
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県内を中心としたクラフトビール以外にも、日本酒やミード、ジンなど約300種類を販売。自らが掛川市で栽培したホップを使用したビール「HATAKE」もオススメです。
お店からのメッセージ
店主伏見 陽介さん
指出 一正(さしで かずまさ)
店内は、商店街の立地と間取りを最大限に活かしながら、人が回遊でき、自由に行き来できる動線です。シンプルでありながらも、お客様同士での交流や店主とのやりとりが計算し尽くされた配置・設計となっており、こだわりが感じられます。
お店は浅間通り商店街内にあり、商店街にコミュニティデザインの新しい空気をつくっています。静岡のブルワリーを盛り上げる発信地であり、ホップの県内での栽培などSDGsの視点からも未来志向が伺えます。
店舗情報
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- 所在地
- 静岡市葵区宮ケ崎町21
- 営業時間
- 13:00〜21:00、金曜日は13:00〜22:00
- 定休日
- 火曜日・水曜日、ほか不定休あり
- お問合せ
- InstagramのDM(ダイレクトメッセージ)にて御連絡ください
特別賞(ウェルビーイング賞)
まるたま茶屋
安心・安全で美味しいお茶とスイーツ。 誰もがリラックスできるカフェ
お茶の栽培から製造、販売まで一貫して手掛けている、まるたま製茶。「子どもに自信を持って飲ませたい」という想いで、除草剤や化学肥料は使わず、2020年の秋からは農薬も無散布でお茶の栽培を行っています。こうして丹精込めて作られた日本茶や紅茶を、手作りスイーツと一緒に多くの人に楽しんでもらえるよう、2023年「まるたま茶屋」をオープンしました。
製茶業を営む前に手掛けていた、製粉や製麺業の名残でもある、麺の乾燥作業を行っていた小屋をリノベーション。天井を見上げると、扇風機を吊していたユニークな形の梁(はり)が残っています。カウンターの一枚板をはじめ、テーブルや椅子などは、自然乾燥させた地元の木材で造作。大切に保管していた50年以上の時を経た建具を随所に用いて、懐かしさと木のぬくもりを感じる内装に仕上げています。
店舗の運営を担当する鈴木あおい(すずきあおい)さんは子育て真っ最中ということで、お客様には子どもと一緒にのんびり過ごしてほしいと言います。また、車椅子のお客様にも配慮したテーブルレイアウトで、誰もが気軽に、ゆったりと過ごせる店舗づくりをしています。お茶やスイーツはもちろん、店内で使用する陶器にもこだわりを持ち提供し、“本物”を追求しています。お茶の淹れ方やお菓子とのペアリングなど、日常でのお茶の楽しみ方も、気軽に話すことができるアットホームなお店です。
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カフェで働くスタッフは、みな子育て中。トイレのおむつ替えスペースや畳の小上がり(予約可)など、乳幼児連れでも訪れやすい細やかな配慮がされています。
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佐鳴湖の環境浄化にも貢献する「さなるの緑茶」「さなるの紅茶」、浜松文明堂とコラボした「ほうじ茶カステラ」など、茶葉やオリジナルのお菓子も販売しています。
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お茶とおやつがセットとなったカフェメニューの中でも、一番人気は、スイーツを盛り合わせにした季節替わりのプレート。お茶は2〜3杯とたっぷり楽しめます。
お店からのメッセージ
鈴木 あおいさん
兒玉 絵美(こだま えみ)
現代的でありながらも建具や古材など古き良き物を上手にミックスすることで居心地良い店舗デザインを実現されています。リノベーションされた店内は、木のあしらい方がナチュラルで素敵です。 緑茶の生産からお茶を飲む時間の提案までを一体と捉え、御家族・親族で家業に楽しく挑戦されている姿は、茶業界にも、働き方にも新たなモデルになると感じます。
地域の人々がゆっくりくつろぐことのできる、人の優しさに溢れたカフェです。
店舗情報
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- 所在地
- 浜松市浜名区細江町中川7172-9174
- TEL
- 053-522-0517
- 営業時間
- 9:00〜18:00(カフェは11:00〜16:00 LO15:30)
- 定休日
- 日曜日・祝日(カフェは日曜日・月曜日・祝日)