「地域のお店」デザイン表彰は、見た目の良さだけではなく、お客様との関係づくりや地域貢献など、広い意味でのデザインという観点から、
魅力と個性にあふれた個店を表彰する制度です。受賞店は、登録店の中でも特にハイレベルなお店です。
サイトを見るだけでなく、ぜひ実際にお店に行ってその良さを体感してください!
10年ほど前に、奥さまが1型糖尿病を発症したのを機に、低糖質のおやつ作りを始めたという畑山大介(はたやまだいすけ)さん。藤枝駅近くで70年続く衣料品店「キリンヤ」の一画に構えたお店は、低糖質お菓子の専門店としてオープン当初から注目され、4年目を迎えた今は、糖質を気にする人はもちろん、誰もが安心しておいしく食べられるおやつの店として、地域の日常に溶け込んでいます。
販売するお菓子には小麦ふすま粉や大豆粉、ラカントSという天然由来の甘味料などを使い、お菓子ひとつ分の糖質を3g以下に抑えています。「同じお菓子でみんな一緒におやつを楽しむ。そんな時間を提供したいんです。最近はプレゼントとして購入される方も増えていますよ」と笑顔で話してくださいました。
おいしいおやつにはおいしい飲み物をご一緒に。注文を受けてから一杯ずつ丁寧にハンドドリップで淹れるコーヒーは、飲みやすいコクとフルーティな風味が特徴。店内の2席あるカウンターでイートインもできます。
住所 | 〒426-0067 静岡県藤枝市前島1-4-8 |
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TEL | 054-636-7575 |
営業時間 | 10:00〜18:00 |
定休日 | 日・月曜日 |
オーナーからのメッセージ
東海道丸子宿で400年続く老舗のとろろ茶店。山並みを背にした茅葺き屋根の店は、歌川広重の浮世絵から抜け出してきたかのような佇まいです。旅人が名物のとろろ汁を食べながら、のんびりと一服した茶店の原点に立ち返る。これが現在の丁子屋が目指す姿です。
日本各地にとろろ汁はありますが、丸子のとろろは鰹節の出汁で作った味噌汁で仕上げるのが特徴です。滋味豊かな香りと強い粘りは良質な自然薯を使っている証。鰹と味噌の香りも食欲をそそります。食事の後は、いにしえの旅道具などを展示する歴史資料館でひと時のタイムトリップを。
十四代目の柴山広行(しばやまひろゆき)さんは「とろろ汁と丁子屋を通じて、静岡の歴史や食などの文化を楽しんでほしい」と話します。伝統の味を守る一方で、地元や東海道の他の宿場町と連携したイベントを積極的に展開。浮世絵に描かれた風景を残したいと、茅葺き屋根の葺き替え費用をクラウドファンディングで募るプロジェクトも成功させました。新たな時代の店舗運営の担い手として、老舗の重圧にとらわれない自由な発想で、奥さまとともに店や地域の魅力発信を行っています。
住所 | 〒421-0103 静岡県静岡市駿河区丸子7-10-10 |
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TEL | 054-258-1066 |
営業時間 | 月~金11:00~15:00、土日祝11:00~19:00 |
定休日 | 木曜日、月末の水曜日 |
オーナーからのメッセージ
審査員からのコメント
- 審査委員
- ひびのこづえ
美しい茅葺屋根をシンボルに、お客様に楽しんでもらう心遣いを細部にまで感じるお店です。畳の部屋を椅子席にして、正座せずに食事ができるようにしたり、お手洗いをきちんと整備したりしていて、老舗の趣に現代に合わせた使いやすさを加え、アップデートされており評価できます。クラウドファンディングやこども食堂、東海道53次の今をつなぐ活動等、御夫婦で楽しみながら、外とのつながりを活発に行っていることがすばらしい。
目の前に相模湾の絶景が広がる、伊豆半島の海辺の集落・赤沢。有機農法で栽培される地元産の米と野菜、オーガニック調味料を用いたランチが人気のカフェは、自然木の優しさに包まれる白を基調にした空間も魅力ですが、天気の良い日はテラスが特等席です。
「家族が体調を崩したことをきっかけに、マクロビオティックを学びました」という店主の山下由香(やましたゆか)さん。民宿を改装してカフェを開いたのは2011年3月のことでした。当初から有機農法で栽培される地元産の米と野菜を使ったランチを提供しています。
看板メニューともいえる「3分搗きご飯セット」は、一食で20種類ほどの野菜を、様々な調理法でいただけます。驚かされるのは、その野菜の味の濃厚さ。「今でもそうですが、農家さんに新しい野菜の種を渡して栽培してもらうこともあるんです」と山下さん。おかげでお店には、栄養満点で安全な色とりどりの野菜が揃います。また、カフェに隣接してベーカリーもオープン。誰もが安心して食べられる米粉100%のパンにも、南伊豆のオーガニック米が使われています。
住所 | 〒413-0233 静岡県伊東市赤沢24-2 |
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TEL | 090-9173-7018 |
営業時間 | 11:00〜16:00 |
定休日 | 火・水曜日 |
※令和4年5月に閉店
オーナーからのメッセージ
審査員からのコメント
- 審査委員
- 繁田和美(しげた かずみ)
アクセスが悪い中、伊豆産の食材を積極的に活用し、全商品アレルギー対応の尖ったテーマで頑張っているお店です。テーマにこだわり、海が目の前に広がっているお店にも関わらず、魚料理を出さないことに潔さを感じました。そのくらい、自分のやりたいことや伝えたいことは妥協しない姿勢に好感が持てます。店主自身が小麦アレルギーであることから米粉パンの普及を行う等、自分事として地域課題に積極的に取り組んでいるところも評価できます。
生パスタ専門店「ohdou cafe」は、北欧のログハウスのような佇まい。ゆったりくつろげるインテリアも人気のポイントですが、なんといっても、主役はもちもちの食感の「柿田川湧水生パスタ」。豊富なメニューバリエーションに、何を食べようか悩むのも楽しいひと時です。食後には契約自家焙煎のコーヒーと手づくりデザートもおすすめです。
店主の大堂将彦(おおどうまさひこ)さんは、10年前にハンドドリップコーヒーを提供するわずか6席の屋台で創業。「フードメニューが欲しいという常連さんの要望に応えて提供を始めたのが生パスタでした」と、当時を振り返ります。こだわりは柿田川の湧水とデュラムセモリナ粉100%。具材には国産の低農薬野菜の他、丹那牛乳や朝霧高原さくら卵など、地元の食材も積極的に用いています。今ではパスタは25種類を超え、オムライスなどの洋食メニューも充実しています。
半年ごとの季節メニューの開発では試食会を開催。店頭やSNSで告知し、参加されたお客様の意見をしっかりと取り入れています。
住所 | 〒411-0914 静岡県駿東郡清水町畑中65-4 |
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TEL | 055-977-0350 |
営業時間 | 11:00〜21:30(L.O.21:00) |
定休日 | 木曜日、12/31〜1/2 |
オーナーからのメッセージ
審査員からのコメント
- 審査委員長
- 指出 一正(さしで かずまさ)
ウッドハウス風の建物で優しい雰囲気があり、温かさが伝わってくるお店です。入店すると同時に従業員の笑顔と元気のよい挨拶がお客様を出迎えてくれるとともに、丁寧な接客や商品の説明をしてくださり、ホスピタリティを感じました。店主の大堂さんは潜水士の資格を取得し、柿田川の清掃活動を行うほか、従業員のために託児所を開業・運営するなど、「社員や取引先、そしてお客様の幸せの実現」を理念に活躍しており、評価できます。
「達磨山の麓に位置する修善寺温泉。この地域の子どもたちは、だるまっ子と呼ばれ育ちます」と教えてくださったのは、「燕舎」の店主でありデザイナーの勝野美葉子(かつのみよこ)さん。もちろん、勝野さんもだるまっ子です。修善寺温泉街にある雑貨店には、だるまをモチーフにしたオリジナル雑貨や、地元作家の一点ものの工芸品などが並びます。大正ロマンを感じるレトロな雰囲気をまとったおみやげは、外国からの観光客にも好評です。
「燕舎」という名前には観光客や地元の若者が、再び修善寺に戻ってきてほしいという思いが込められています。また、勝野さんが大切にしているのは、“地域に根ざしたものづくり、コトづくり”。自らパッケージデザインをした地元産のお茶や梅シロップなど、魅力ある地元の産物をより広く発信するために、生産者とおみやげを共同開発しています。お店でそれらが生まれた背景の話を聞くのも旅の思い出になりそうです。
また、デザインの力はイベントでも発揮。だるまをキーワードにした地域活性イベント、野外手づくり市「修善寺だるまっ子市」を偶数月に定期開催しています。
住所 | 〒410-2416 静岡県伊豆市修善寺825-2 |
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TEL | 090-8078-3453 |
営業時間 | 11:00〜17:00 |
定休日 | 月・木曜日 |
オーナーからのメッセージ
審査員からのコメント
- 審査委員
- 兒玉絵美(こだま えみ)
土地の文脈にあったデザインであり、店内には世代を広げる工夫がされています。向かいのガレージをフリースペースにしたり、まちのサインデザインを変えたり、お店の外の活動も魅力的です。デザインを学んだことにより、地元開業を選択し、働きながらまちと関わっている姿は、若い世代が地域に関わっていくモデル的事例です。20代の視点で、生まれ育ったまちを「こうだったら素敵だな」に変えていく実行力がすばらしい。今後の活躍に期待しています。