「地域のお店」デザイン表彰は、見た目の良さだけではなく、お客様との関係づくりや地域貢献など、広い意味でのデザインという観点から、
魅力と個性にあふれた個店を表彰する制度です。受賞店は、登録店の中でも特にハイレベルなお店です。
サイトを見るだけでなく、ぜひ実際にお店に行ってその良さを体感してください!
里山の景色の中に佇むアトリエ兼ショップには、毛糸やオリジナルのニット製品、ファッション小物がセンス良くディスプレイされています。藤枝市出身のファッションデザイナー、村松啓市(むらまつけいいち)さんが、デザインから製造まで一貫したものづくりができる環境をつくりたいと、2016年にオープンしました。
“食卓に並ぶおいしい料理は畑の作物からできている。”これは子どもたちも知っていることです。服も同じように、原料から糸が製造され、その糸が様々な製品になることを伝える。これが「AND WOOL」の使命です。素材感のある製品を手にすると、自然の温もりを感じます。誰もが参加できる『手編み機を使ってストールをつくる』ワークショップでは、1本の糸がカタチになることを実感できます。今まで何気なく購入していた洋服にも、様々な人の手間と思いが込められていることに気付かされます。
「AND WOOL」では、地域の障害者就労支援施設に通う人達に技術を教え、健常者と同様に編み手として仕事を依頼しています。「身に付けた技術の使い方をデザインするのも僕たちの大切な役割です」と村松さん。地域の多くの人が関わり、まちぐるみでニットファッションのファクトリーになることを目指しています。
住所 | 〒427-0113 静岡県島田市湯日1124-1 |
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TEL | 0547-54-4492 |
営業時間 | 11:00〜18:00 |
定休日 | 日曜日、月曜日、火曜日 |
オーナーからのメッセージ
お店の創業は2012年。以来、日常的にワインがある食卓を理想に掲げ、ワインを飲むシーンや料理、好みなどを聞きながら、お客様にとってベストな1本を選び続けているワイン専門店。それはまるで、お店とお客とが会話を楽しみながらお気に入りの一着を選ぶ、セレクトショップのようです。
副店長の下里祐美子(しもさとゆみこ)さんは、東日本大震災後の陸前高田市で働いていましたが、身近にあるものを大切にしなければと気付き、母親の眞澄(ますみ)さんが立ち上げた店を手伝うことにしました。今では母娘の二枚看板で仕入れから接客、生産者とのやりとりを行っています。お客様が買って良かったと思えるワインをお勧めする。眞澄さんが大切にしているこのモットーをしっかりと共有し、「これからも町の酒屋として品揃えを充実させ、コミュニケーションを大切にした接客をしていきたい」という祐美子さん。オンラインショップの運営やSNSでの情報発信など、新たな取組にも積極的です。
オンラインショップを覗くと、ワインの銘柄は見当たらず、おまかせでの販売のみ。あくまでも購入者の好みに合わせる販売スタイルは、ここでも貫かれています。
住所 | 〒411-0858 静岡県三島市中央町2-6 |
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TEL | 055-983-0755 |
営業時間 | 10:00〜19:00、日祝10:00〜17:00 |
定休日 | 水曜日、第2・第4木曜日 |
オーナーからのメッセージ
審査員からのコメント
- 審査委員
- 繁田和美(しげた かずみ)
消費者と同じ目線で商品選びをアドバイスする温かみのある接客や、専門用語を使わないポップなど、初心者でも気軽にワインを楽しめる雰囲気を作り出しています。店舗は、小さいながらもシンプルで見やすいレイアウトに工夫されており、必要なものが必要なだけ揃っていて、とても居心地の良い空間になっています。コロナ禍で始めたという、消費者の細かな要望を基に、お店のチョイスで商品を送る「ちょっとめんどくさいオンラインショップ」も魅力的です。
創業は1933年。当時、西伊豆随一の商業都市だった松崎町においても、精肉店はまだまだハイカラな存在でした。店主の浅井眞(あさいまこと)さんは3代目。お客様との会話を大切にする対面販売のスタイルを守り続けています。
「気に入ったものをじっくりと販売していきたい」と語る浅井さんが扱うのは、地域の人に安心・安全で美味しいものを届けたいと吟味した精肉や商品。静岡県内ではここだけで販売している宮城県産の「えごま豚」は、町外の顧客からも定期的に注文が入ります。月に一度、お得意様に送る200枚を超えるダイレクトメールの数は、多くのファンがいる証です。一方で、観光客のリピーターが多いのも特徴。お目当てNo.1は、地元の特産を使った「川のりコロッケ」です。町内を散策すると、香ばしく揚がったホクホクのコロッケを頬張りながら歩く人の姿も見かけられます。さらに、地元の人にも、キャンプやバーベキューで伊豆に来た人たちにも人気なのが、冷凍パックで販売されている味付け肉。観光客が帰りがけにも立ち寄り、おみやげとして購入していきます。
浅井さんがチョイスしたイタリアの食材や作家ものの陶器は、地域の人達に陽気な空気をもたらしてくれます。
住所 | 〒410-3611 静岡県賀茂郡松崎町松崎451-1 |
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TEL | 0558-42-0298 |
営業時間 | 9:00〜18:00 |
定休日 | 水曜日・第1火曜日 |
オーナーからのメッセージ
審査員からのコメント
- 審査委員
- ひびのこづえ
小さいながらも気負いのない、親しみやすいお店の雰囲気が、松崎という土地とフィットしていて良いと感じました。一方で、オリジナル商品(川のりコロッケや桜葉豚みそ漬け)の開発や、消費者の健康を第一に考えた米油の使用など、まちの小さなお肉屋さんにとどまらない妥協のない取組がお店の魅力を高めています。観光に訪れた人がおやつ代わりに買える揚げ物の懐かしさ、地域が温かくなりそうです。
柑橘類やお茶のフレーバーがいかにも沼津らしいクラフトジン「LAZY MASTER」。沼津市内のクラフトビール「Repubrew(リパブリュー)」から仕入れる大麦由来の原酒を使い、西浦みかん、へだたちばな、青山椒、黒文字など地元産をメインに8種類の植物(ボタニカル)で香り付けをしています。発売したのは「沼津蒸留所」。狩野川沿いにある、空き家をリノベーションした建物で2020年に創業しました。
併設のテイスティングルーム兼カフェバー「THE CHAMBER」では、お酒だけでなくモーニングやランチも提供、テラス席は「かのがわ風のテラス」に面していて、朝、昼、夜それぞれの時間帯の景色が楽しめます。店主の小笹智靖(こささともやす)さんは、「コーヒーやソフトクリームだけでもお気軽に。散歩がてら立ち寄って、ちょっと一息いれてもらえれば嬉しいですね」と話します。
沼津らしさの発信は、お店の大切なコンセプト。市内の飲食店とコラボレーションした曜日替わりのランチやクラフトジンは、地元の人が地域の魅力を再発見するきっかけになります。また、沼津の風景と味が堪能できるロケーションは、市外から観光客を呼び込む新たなスポットとしても注目されています。
住所 | 〒410-0802 静岡県沼津市上土町8 |
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TEL | 055-955-6222 |
営業時間 | モーニング7:00〜9:00、ランチ11:00〜14:00、 バー17:00〜21:00 |
定休日 | 日曜日、祝日(モーニングとランチは土曜休) |
オーナーからのメッセージ
審査員からのコメント
- 審査委員
- 兒玉絵美(こだま えみ)
店舗は、日本家屋の趣を残しつつ、バーとしての存在感をアピールしているほか、内装の木製品、小物家具にも工夫とセンスがあり、機能的でスッキリとしています。沼津のシンボルでもある狩野川に面した店舗という立地を活かし、流域の魅力向上につながっていると感じました。店内から前庭、川辺のテラスへと、お店が狩野川や地域にはみ出していくような開放的な空間が広がっており、屋外でお酒が楽しめる場づくりにより、新しい生活様式を実現しています。
自動車メーカーで開発の仕事に携わっていた江南徳行(えなみのりゆき)さんは、5年前に早期退職して奥様と一緒にみかんの専業農家になりました。就農1年目、直販での購入者に同封していたみかんジャムが美味しいと評判に。6次産業化は生産者の今後の重要な課題だと、本格的にマーマレード作りを始めました。翌年の2017年には、世界最大のマーマレードイベント「ダルメインマーマレードアワード」に出品し、見事金賞を受賞。以降4年連続で金賞を受賞しています。
果実の味は毎シーズン異なるため、収穫したら皮、種、薄皮などをまず自分の舌で確認し、レシピを微妙に調整します。慢心せずに常に品質の向上を目指して進化を続ける、これが連続受賞の秘密です。2020年には、へだたちばなのマーマレードで、日本人として2人目の最高賞を受賞しました。「柑橘類は自家農園と県内産がほとんど。果物自体の素晴らしさはもちろんですが、収穫される地域の環境や暮らしにも注目して選んでいます」と江南さん。
商品の販売は通販と直販で。自宅敷地内に設けた接客用のテラスとストックルームは、地元産の天竜杉をふんだんに用いた、温もりを感じる心地よい空間です。
住所 | 〒434-0015 静岡県浜松市浜名区於呂3331-18 |
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TEL | 053-570-3827 |
営業時間 | 14:00〜16:00 |
定休日 | 不定休 |
オーナーからのメッセージ
審査員からのコメント
- 審査委員長
- 指出 一正(さしで かずまさ)
天竜杉を使った半屋外の販売所は、開放感とカラーリングからとても爽やかな印象を受けます。お客様と時間を調整し、来店が重ならないよう(密にならないよう)にする工夫と併せて、ニューノーマル時代の1つの個店の形であると感じました。英国マーマレードアワードでダブルゴールドを受賞した自慢の商品は、県産の柑橘を多数使用しており、品質にこだわり、技術も非常に高く、その想いや背景をお客様に伝えることが最高のおもてなしになっています。