「地域のお店」デザイン表彰は、見た目の良さだけではなく、お客様との関係づくりや地域貢献など、広い意味でのデザインという観点から、魅力と個性にあふれた個店を表彰する制度です。受賞店は、登録店中でも特にハイレベルなお店です。
サイトを見るだけでなく、ぜひ実際にお店に行ってその良さを体感してください!
戸田港を一望する「Tagore Harbor Hostel(Cafe & Bar)」。築60年を経た建物が、「海と一体化する」というテーマのもとホテルに生まれ変わったのは2019年のこと。客室はすべてベイビュー。1階のカフェ・バーラウンジも、海側の壁はガラス戸に変更され、滞在中はいつでも戸田の潮風を感じることができます。
リノベーションの設計から施工、運営まで手がけているのは、東京都から移住してきた鈴木智博(すずきともひろ)さん。東京の設計事務所で働いていた頃から限界集落の活性化に興味があったそうです。この建物の活用を相談され目の前に海が広がるロケーションを見た時、ホテルに最適だと感じ、自らオーナーになろうと決めました。滞在者が夜の食事に困らないようにと施工途中で設計を変更、キッチンスペースを充実させました。メインターゲットは外国や首都圏からの観光客。もちろん、地元の人も大歓迎です。
コロナ禍以前は月に1回、地元の人が料理を販売し、バンド演奏を披露するイベントを開催。戸田の魅力を観光客に伝えながら、地域の人が自主的に何ができるか考えるきっかけづくりにして欲しいという思いからでした。 「戸田にあるたくさんの魅力をもっと活用したい」と鈴木さん。地域の人たちと築いた連携を生かし、今後も戸田の魅力を現地から発信し続けます。
住所 | 〒410-3402 静岡県沼津市戸田321-17 |
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TEL | 070-3247-3697 |
営業時間 | カフェタイム11:00〜16:00、バータイム16:00〜22:00 |
定休日 | 不定休 |
オーナーからのメッセージ
大正3(1914)年創業の「肉匠 さの萬」。三代目社長の佐野佳治(さのよしはる)さんは、常に時代の流れと顧客のニーズを的確にくみ取り、最高品質の商品を届けるべく仕事に邁進してきました。この世にふたつとないものをつくり出す「不二求心」の言葉に、その思いが凝縮されています。
産地と作り手がわかるものを販売したいという思いから、2004年に義務化されるその10年前からトレーサビリティを導入。創業100周年に向け、日本一おいしい豚肉を目指したオリジナルブランド「萬幻豚」を開発。ニューヨークのステーキレストランで衝撃を受けた「ドライエイジングビーフ」も、国内でいち早く熟成技術を確立等、時代に先駆けた取り組みはまだまだたくさんあります。
「世の中には優れた商品がたくさんある。それらの情報を得た時に、どうやったらお客様に提供でき、感動を共有できるかを考えます」と話す佐野さんの信条は、“すぐやる・必ずやる・できるまでやる”。こうした思いが反映された店づくりは、途切れない来店客の様子からも地元の人たちに支持されているのだと実感できます。
地元富士宮が大好きで、事業を通じて恩返しができればと、現在は、朝霧高原に人が集える場所づくりの構想もあるそうです。
住所 | 〒418-0067 静岡県富士宮市宮町14-19 |
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TEL | 0544-26-3352 |
営業時間 | 10:00〜18:30 |
定休日 | 水曜日、木曜日不定休 |
オーナーからのメッセージ
審査員からのコメント
- 審査委員
- ひびのこづえ
熟成肉の食文化を日本に取り入れてチャレンジしながら、SDGsに向けた取組を食肉と農業という視点で、社長自ら行っている点が素晴らしいです。先代や社員、御家族を大切にして、経営をしている社長のお人柄も伝わってきました。店内は、陳列棚が機能的でわかりやすく、ゆったりとした広さと清潔感が、お肉屋さんとしての安心感につながっています。スタッフの皆さんの表情も明るく、お店に来る方との些細なやりとりが素晴らしいです。
早咲きの河津桜で有名な河津町の中心地。民家の一部を改装した店内に入ると二面の壁をびっしりと埋め尽くすレコードが。これらは店主の森隆男(もりたかお)さんが、中学生の頃から集めてきたコレクションです。東京・下北沢でバーを経営していた森さん。奥様の実家がある河津町に家族とともに移住し開いたカフェには、地域の御年配の方々も、初めはお茶を飲みに、最近ではプレートランチを目当てに気軽に訪れます。
提供する食事メニューは、いわゆる「カフェご飯」ですが、肉、野菜のバランスが良く、食べ応えもある量。また、一般的なランチタイムを過ぎてもオーダーできるところも、利用者としては嬉しいポイントです。調理は奥様の由美子(ゆみこ)さんが担当。季節のフルーツを使ったデザートも人気です。
コロナ禍で始めたテイクアウトも好評で、すっかり定着。メニューのバリエーションを増やして、このスタイルを継続していくそうです。「地元の人が気軽に立ち寄れて、その評判から旅行者も来てくれたらいいですね」と森さん。店名は、お気に入りのレコードジャケットに写っていた、ニューヨークで200年ほど続くアメリカ最古のステーキハウスの名前から。この命名にあやかるように、末永く地元で愛されるカフェを目指しています。
住所 | 〒413-0515 静岡県賀茂郡河津町谷津253-1 |
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TEL | 090-9132-1207 |
営業時間 | 10:00〜17:00 |
定休日 | 日曜日 |
オーナーからのメッセージ
審査員からのコメント
- 審査委員
- 繁田 和美(しげた かずみ)
元々あった建物やその造りを活かした店舗づくりで、店とお寺と景観が地域に馴染んでいます。店内はレコードで埋め尽くされ、テーブルや椅子、店内に置かれているものは純喫茶感があり、扉を開けたら「下北沢」。下北沢が河津にやってきた良い違和感を感じました。店主御夫妻の接客からは、地域の人のことを大切にされていることがわかり、老若男女近所の方の憩いの場、地域のコミュニケーションの場に今後ますますなっていくと感じました。
「『SANKAKU』には地図上で山頂を示す“三角”と、“参画”の意味があるんです。」と教えてくれたのは、店主の山崎和可奈(やまさきわかな)さん。クラウドファンディングを利用して作りあげた店舗には、多くの人が寄付だけでなくリノベーション作業にも関わったため、その感謝の思いが込められています。さらに“STAND”には、ガソリンスタンドのように、日本では何かを補給する施設の意味合いでも使われます。まさにここは、山歩きに必要な道具や情報を補給する場所です。女性が店長を務めるアウトドアのセレクトショップは全国的にも珍しく、店頭には山崎さんが厳選した女性や初心者が選びやすいアイテムが並びます。
アウトドア用品メーカーに勤務していた山崎さんが、数多くの山登り経験を経て情報発信の拠点に選んだのは伊豆・修善寺。手軽な山歩きで海や富士山の絶景が楽しめる伊豆の山々なら、登山はハードルが高いというイメージを払拭し、楽しさを伝えられると感じたそうです。
店舗開店に先立って配信を始めたYouTubeや山歩きイベントでも、伊豆の山々の魅力を伝え続けています。いずれはお客様同士で自発的に山歩きを楽しめるような、情報交換のハブとしてのショップに育てたいと考えています。
住所 | 〒410-2407 静岡県伊豆市柏久保625-9 |
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TEL | 055-899-9255 |
営業時間 | 12:00〜18:00 |
定休日 | 火曜日、他不定休有り |
オーナーからのメッセージ
審査員からのコメント
- 審査委員
- 兒玉 絵美(こだま えみ)
親しみやすいウッディなデザインと、コンパクトでわかりやすい店舗で、2階の畳スペースや窓辺のカウンターも心地良いです。伊豆の山、修善寺商店街の紹介など、自身のお店以外についての情報発信やつながり作りを積極的に行っていて、地域の魅力を伝える役割も担っています。遠方から店主御夫妻に会いにやってくるお客様も非常に多く、自身が大きな広告塔として、今後もその才能と発信力を生かし、お店・地域を盛り上げてほしいです。
店主の寺尾依左央(てらおいさお)さんがペレットストーブの販売を始めたきっかけは、小山町の工場で作られているペレットを地元に供給したいという思いからでした。事業が軌道に乗り、より多くの人にペレットストーブを体感してもらえるよう、2014年にショールーム的に店を構えることにしました。目指したのはサスティナブル。倉庫を改装した店づくりにおいても、廃棄物を可能な限り出さないよう活用できるものは最大限再利用。周囲の植栽も伐採は必要最小限にして、そのまま景観として残しています。
ペレットストーブは暖房としての機能はもとより、生活空間を豊かに演出する力があります。同様の力が作家作品にもあり、個展開催・販売を行い、より豊かな生活空間の提案を継続して行っています。「扱う作家ものは木、土、木綿、麻、皮、鉄、真鍮などの自然素材。希少価値が高く、ずっと大切に手元に置きたくなるので捨てられにくい。これもサスティナブルだと思います」と寺尾さん。
ペレットストーブも作家ものを扱うことも、ベースはものを大切にすること。IHの普及で生活から消えつつある炎の文化と、大量生産品に埋もれがちな手仕事の文化を未来に継承していきたいと話します。
住所 | 〒424-0879 静岡県静岡市清水区有度本町5-18 |
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TEL | 054-368-7023 |
営業時間 | 10:00~17:00 |
定休日 | 水曜日、木曜日 |
オーナーからのメッセージ
審査員からのコメント
- 審査委員長
- 指出 一正(さしで かずまさ)
元の建物と植栽をうまく活用した、隠れ家的であり、オープンな雰囲気が絶妙です。ギャラリースペースも居心地の良い空間でした。環境の問題に対して、どんな商品を扱って、どんな商いをして、どんな活動をしていくのかが一貫しており、ペレットストーブのメンテナンスやお手紙、長年のゴミ拾い活動など、お客様や地域との継続的なやりとりも素晴らしいです。御夫妻のお人柄から優しいコミュニケーションが生まれ、また行きたくなるお店だと感じました。