「地域のお店」デザイン表彰は、見た目の良さだけではなく、お客様との関係づくりや地域貢献など、広い意味でのデザインという観点から、
魅力と個性にあふれた個店を表彰する制度です。受賞店は、登録店中でも特にハイレベルなお店です。
サイトを見るだけでなく、ぜひ実際にお店に行ってその良さを体感してください!
静岡市の中心部において、文具、生活雑貨や衣類まで、時代のニーズに合わせながら、店主の感性で選んだ「良いもの」を発信し続けている三保原屋LOFT。店内に長い時間滞在されるお客様も多く、美術館に例えたファンもいるのは、楽しい店づくりをしている証です。「ライフスタイルの提案」を目指して、店内を一軒の家に見立て、商品を部屋ごとに欲しいものに分類し陳列しています。「お客様が実際に使う場を想像しやすいような店づくりをしています」と40年前の開店時から店主を務める堀佳千世(ほりかちよ)さんは話します。
また、開店当初から大切にしていることは、作り手の気持ちをお客様に伝えること。作り手の思いや商品づくりのコンセプトをイベントの開催案内はがきや売り場のポップで紹介、接客時にも作り手の代弁者として丁寧に伝えることを欠かしません。
オリジナル企画展「しぞーかのこどもっち」は、2022年の今年、5年目を迎えました。障害のある子どもたち手作りの雑貨販売のほか、アート作品を開放的でゆったりとした店内の色々な場所に展示。子どもたちの自由な発想のアートに触れて障害のある方への理解を深めてほしい、誰もが輝ける世の中になってほしい、との願いを込めて企画を続けています。子どもたちのアート作品で三保原屋LOFTオリジナルグッズも作っています。
住所 | 〒420-0032 静岡県静岡市葵区両替町2-4-1 |
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TEL | 054-251-1771 |
営業時間 | 10:30〜19:00 |
定休日 | 元日 |
お店からのメッセージ
浜名湖畔で養蜂とはちみつ販売を行う長坂養蜂場が2021年に浜松市中心部に開いたはちみつスイーツ専門店には、はちみつをたっぷり使って店舗で作るオリジナルスイーツを求め、お客様がひっきりなしに訪れます。空き店舗をリノベーションした店舗は、柔らかなクリーム色を基調に、ハニカムモチーフのモザイクタイルを用いるなど、はちみつをイメージしたかわいらしいデザインです。
長坂恭輔(ながさかきょうすけ)さんは、「街中の活性化に貢献したい」と中心部への出店を決意。はちみつスイーツアトリエでは、「はちみつのある暮らし」の提案とまちなか活性化の両方を目指し、近隣店舗とコラボした限定フレーバーのはちみつソフトクリームを販売。お客様が街中を回遊するきっかけとなるよう、コラボ先店舗の紹介リーフレットをスタッフの取材で作成、配布しています。
街のにぎわいづくりに貢献する取組として、はままつ街みつプロジェクト「ハチとミツのおいしい休日」も期間限定イベントとして実施。「はままつ街みつ」は、近隣ビルの屋上で採取したはちみつで、想定以上の量が採れたことに感謝し、企画。街中の徒歩圏内にある飲食店、菓子店の協力店に「はままつ街みつ」を配り、イベント期間中は、各店舗が「はままつ街みつ」を使ったオリジナルメニューを提供しています。
住所 | 〒430-0931 静岡県浜松市中央区神明町314-6 |
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TEL | 053-456-1183 |
営業時間 | 11:00〜18:00 |
定休日 | 火・水曜日 |
お店からのメッセージ
審査委員からのコメント
- 審査委員
- 繁田 和美(しげた かずみ)
「はちみつ」というコンセプトに合わせた世界観で、ポップでかわいい店づくりがされ、若い世代にアプローチできています。バックヤードや休憩室もおしゃれなインテリアでスタッフにも働きやすい環境づくりができていました。
また、中心市街地の空き店舗をリノベーションした店舗であり、他店とのコラボ商品やビル屋上での養蜂など、街ぐるみのおもてなしで地域を盛り上げています。今後も更に地域活性化の取組を続け、街の拠点となっていくことが期待されます。
のれんの先に並ぶ旬の果物にぱっと目を引かれる杉山農園直売所は、早生桃の産地である静岡市長田地区で江戸時代から続く農家に生まれ育った杉山謙介(すぎやまけんすけ)さんが家族で営む農園の直売所。杉山さんが就農した1998年当時、「長田の桃」は東京、名古屋など県外への出荷が主で、地元にはほとんど流通していませんでした。そこで、「産地に暮らす地元の人たちにも最高においしい状態の桃を食べてほしい」と、2002年にテントで直売を開始。生産者としてお客様にとれたて、もぎたての果物を届けられるとともに、直接会話できることも喜びになりました。
作業小屋を改装し直売所を併設した現在の店舗は、2022年6月、桃の香りに包まれオープン。7月中旬から初秋まで梨、晩秋から冬にかけてみかんと、旬の果物が店内を彩ります。みかんは、以前、地元スーパー等への出荷のみでしたが、今シーズンから直売所にも並びます。
直売所の裏手にあるuraでは、奥様の敬子(けいこ)さんが規格外の果物で手作りしたスムージーを販売。農家らしさがアピールでき、子どものおやつにも安心なものをと考え、試作を重ねて完成したスムージーは、SNSから話題になり、限定20杯が1時間で売り切れるほどの人気に。
果汁感が残るドライフルーツも開発、商品化。自然素材を用いたパッケージで「すのまま、そのまま。」旬の味を届けています。
住所 | 〒421-0122 静岡県静岡市駿河区用宗1-1-2 |
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TEL | 054-259-0817 |
営業時間 | 10:00〜17:00 ※売り切れ次第終了。桃収穫期のuraは14:30〜 |
定休日 | 収穫期は無休 |
お店からのメッセージ
審査委員からのコメント
- 審査委員
- ひびのこづえ
「主役は果物」というシンプルなコンセプトが良いです。のれんやテーブルなどシンプルに必要なものをそろえてお店づくりをされています。
生産者が店舗を設けて果物を販売し、地域の活性化や果物の価値を高めようとする気持ちが伝わってきました。スムージーも生産者ならでは、果物そのもののおいしさが存分に生かされています。
また、店主御夫妻の人柄がそのままおもてなしになっており、丁寧な接客でリピーターの多さにつながっていると感じました。
秘密のぬけあなに続く道は、国道から入ったわき道。この先にお店があるのか不安になりながら山道を上っていった先に現れます。「道中のどきどき感も楽しんでほしいです」と店主の矢島彩香(やじまあやか)さん。高校卒業後、地元を離れて気がついた豊かな自然の素晴らしさ。「カフェを開きたい」という夢に、「この心地良い場所をもっと多くの人に知ってほしい」との思いが加わりました。
地元でカフェを開くという目標に向けて、飲食店や有名洋菓子店での勤務、休日にイベントで創作菓子の販売、コロナ禍の飲食店休業により生じた空き時間でネット販売、SNSでの情報発信と必要な行動を一つずつ積み重ねてきています。ネット販売が軌道に乗ったことからUターンし開業。当初は、ネット販売のみでしたが、地元のイベントに出店する中でいただいた近隣の方々からの声に応え、店舗での販売、さらに、イートインも始めました。
店舗営業は、原則土曜日の週1回。周りに他の店舗がないからこそ、矢島さんが描いた世界観を作り込むことができたお店。このお店のショーケースいっぱいに、30種類ほどのオリジナルスイーツやオープンサンドなどが並びます。一工夫された個性ある商品は、地産地消や食品ロス削減も考え開発。近隣だけでなく、遠方からもお客様が訪れ、小さな山あいの地域を盛り上げています。
住所 | 〒413-0501 静岡県賀茂郡河津町梨本740-7 |
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TEL | 0558-36-4260 |
営業時間 | 11:00〜14:00 |
定休日 | 日〜金曜日(営業日は店舗サイトで確認) |
お店からのメッセージ
審査委員からのコメント
- 審査委員長
- 指出 一正(さしで かずまさ)
山あいにポツンとある小さなお店は1つの世界観でつくられ、その世界観が優しくあふれ出し、店主のお人柄と店主を支える周囲の方々のあたたかさが伝わってきました。
店主が自身の夢の実現と、ふるさとを盛り上げることを目標に一歩ずつ堅実に前進している姿勢が素晴らしいです。今後、店主の夢とビジョンで地域が変化していくことが楽しみです。このお店の中山間地域での開業や店舗運営の方法などが、地方での暮らし方、働き方の1つのモデルとなることも大いに期待されます。
嘉本朋宏(かもとともひろ)さん、 千年(ちとせ)さん夫妻が営むオリジナルジュエリーショップは、沼津市内の住宅街にあります。階段を上がって入口のドアを開けると、一面ガラス張りの窓からのぞむ狩野川と香貫山の景色の中、お二人のセンスにより洗練された空間が広がっています。ジュエリーのほか、アンティーク時計、洋服、フレグランスなどのセレクトアイテムが並び、お客様がリラックスできるようにとの思いを込めた音楽や香りの中でお気に入りのアイテムを選ぶことができます。
朋宏さんは、店舗に併設する工房でオリジナルジュエリーを制作します。ジュエリー制作で大事にしていることは、インスピレーション。デザイン画は描かず、素材となる天然石を見て、触れながら、形や光の入り具合を見極めて、石そのものが最も引き立つアイテムに仕上げます。
接客を担当する千年さんは、「アイテムを紹介、販売することを通じてお客様の生活が少しでも豊かになることのお手伝いができたら嬉しいです」と笑顔で話します。お客様との会話や身につけているものから、好みに合いそうなものを提案。さらに、新しいおしゃれに挑戦するきっかけになるよう似合いそうなものをお勧めすることも。
来店のたびにお客様に新しい発見がある店づくりを心がけています。
住所 | 〒410-0842 静岡県沼津市蛇松町29-2 |
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TEL | 055-943-6499 |
営業時間 | 11:00〜19:00 |
定休日 | 水曜日、第1・3木曜日 |
お店からのメッセージ
審査委員からのコメント
- 審査委員
- 兒玉 絵美(こだま えみ)
店内は、入口からは想像もつかない素晴らしい空間が広がっていました。風景まで取り入れた突出したデザインで、店舗デザインそのものがおもてなしになっています。空間を構成するもの全てが統一した世界観で選ばれ、バランス良く配置されています。階下の自宅前の空間の活用も上手で、五感を大切に心地よく暮らし、店づくりを行う新しい在り方だと感じます。
周辺の他店や作家とゆるやかにつながりながらコラボを行っています。今後さらに地域と連携が図られることを期待します。
約10ヘクタールの広大な土地に広がるのは、国内最大のキウイフルーツ観光農園。平野耕志(ひらのこうし)さんは、高校・大学で農業を学び、海外で農業指導に従事した後、実家のキウイ農園で働き始めました。目指すは『世界一サステナブルな観光農園』。湧き水をかん水として利用、園内にいる動物たちが雑草を食べ、そのふん尿で堆肥を生成する等、環境負荷の少ない循環型の農園づくりに取り組んでいます。
入口のキウイフルーツのアーチを抜けると、地元の学生たちと一緒に農機具倉庫をセルフリノベーションしたショップ&カフェがお出迎え。ここでは、食べ頃のキウイフルーツの販売、収穫したキウイフルーツをふんだんに使ったドリンクや軽食といったオリジナルメニューを提供しています。
農園内では、キウイフルーツの食べ比べや、キウイの木の下で楽しむバーベキューも人気。キウイの皮は園内にいる動物のエサや畑の堆肥に、バーベキューの燻煙は病害虫の防除になったりと、来園者もおいしく楽しみながら、おのずと循環型の農園づくりに参加できます。こうした取組に国内外からの視察も多く、「畑はもっと自由で開かれた場所であってほしい」という平野さんの思いが国内にとどまらず、世界中に広まり始めています。
住所 | 〒436-0012 静岡県掛川市上内田2040 |
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TEL | 0537-22-6543 |
営業時間 | 9:00〜16:30(平日は16:00まで)、17:00~20:30(ナイトBBQ) |
定休日 | 木曜日、1/10〜3/20は水・木曜日 |
お店からのメッセージ
審査委員からのコメント
- 審査委員
- ひびのこづえ
あるもの全てを資源として有効活用し、環境負荷の少ない循環型農法でキウイフルーツを生産しています。お店づくりにもサステナブルな視点を取り入れながら手作りで工夫しています。
商品開発や観光、農業など様々な分野において地域や学校との連携協働をしており、さらに世界とも積極的に交流を広げていて素晴らしいです。今後の一次産業や地域の活性化に向けた高い目標を掲げ、夢に向かって取り組んでいる姿に感銘を受けました。